loser's howling for tomorrow

ネタバレ注意。小説、漫画、アニメ、ゲーム、音楽、お笑いのことなんかを書き殴っています

僕のままでどこまで届くだろう


◆2008年12月14日(日)大阪公演@心斎橋 鰻谷sunsui
 「スイカ(夕方でも)夜話オオサカ」〜第3夜

  GUEST:Romancrew with SUIKA band style
  SOLO LIVE:タケウチカズタケ / toto  DJ:NAO(スーパークロイ)
  open16:00 / start17:00 adv.¥2,500 / door¥3,000 (drink別)


行ってきました。当日は昼過ぎにぐだぐだと起きて電車で難波へ。車で行こうか少し迷ったけど、ライブ後に飲む約束もあったので電車。着くまで桜庭一樹の「推定少女」読む。感想は後ほど。
難波着。とりあえず日本橋とらのあなでウロウロ。特に欲しいものもなく、あまり時間に余裕がなかったので早めに切り上げてK2レコードへ。キリコの新作、やけのはら、ケーボンなど借りる。この後いっしょに飲む予定のK2店長はいなかった。休みか。そろそろいい時間かな、と燦粋に向かう。途中、中国人らしき若者に片言の日本語で道を訊かれてちょっと困る。が、動揺はおくびにも出さず、滑らかに、速やかに、躊躇せずに勘で答えてにこやかに去る。
燦粋到着してビール飲んでると、すぐに「SUIKA夜話、はっじまっるよ〜」(誇張アリ)と声が聞こえてライブスタート。SUIKAはいつもビックリするほど段取りが良くて気持ちいい。良いイベントってのは一つ一つのライブの善し悪しだけじゃなくて、こういう細かい所まで気配りができてこそだよなあ、と、完全に上から目線の「何様?」的感想を思い浮かべながら、まずはタケウチカズタケのライブ見る。この人の演奏姿は本当に華がある。やってることはちょいジャジーなピアノ入りインストhiphopで、斬新なことをやってるわけじゃないし、めちゃくちゃ質が高いわけでもない。でも、このアクションとゆるいMCを交えられると、こんなひねくれた基本ナナメから目線の人間(たとえば俺)の胸なんかにもすんなり届いてしまうわけです。4曲だけの短いライブだけど、あいかわらず素晴らしい。大好き。
そして間を置かずそのままRomancrew with SUIKAバンド。ど真ん中最前列でかぶりつきで見る。もうなんというか本当に最高。演奏も3MCも全部が全部クッソヤバい。特にエムラスタの男気溢れるラッピンがツボすぎた。前回の夜話に比べて客の入りは結構さびしい感じだったけど、そんなことは気にならないぐらいクソ盛り上がって終了。
ここで少しインターバル。Kさんと日本語ラップの話とかしてると、またすぐにライブ再開。この長すぎず短かすぎずな間の開け方も何だかすごく気持ちいい。良いイベントってのは(略)。さて、次ははじめて見るTOTOさんa.k.aナノルナモナイの嫁のソロ。ライブで見るポエトリーリーディングってこんな感じか。韻やフロウにこだわらない、ストーリー仕立てのフリースタイルとでもいうか。で、そのままSUIKAの面々を呼んでライブに突入といった流れ。肝心のSUIKAライブは、「JUCY, FRUITY, SPICY, FUNKY」でいきなりトップギアに持って行った前回とは違い、メロウな曲でじわじわ盛り上げるスタイル。今回はタカツキウッドベース弾いてなくてラップ専業。代わりにエレキベースのメンバーが増えてた。当たり前すぎてあえてこんなこと言うのも失礼かもしれんけど、クソうまい。ぶっとくジャジーなラインで常にボトムを支えていた。グッジョブ。大好きな「ジョナサン」でのATOMのテンパリ具合いがやばすぎて悶絶したりしてる内にあっという間に最後の「キリンが星を食べる島」。この曲のちょっとニューウェーブ臭のするシンセの音色はマジでヤバい。オーラスの3MCが好き勝手にフリースタイル決めまくるパートとか鳥肌の連続。ぐわんぐわんに乗せられて終了。と思いきや、ここでRomancrewを呼び、全員でのセッション大会。会場にいたスーパークロイMCたちも呼ばれて次々とフリースタイル。ステージ上がマジで狭い(笑)。一人あたり20cm四方ほどしかないぐらいの超過密セッション。若手MCの中ではダメレコからCD出してたLION'S ROCKのフリースタイルがヤバカッタ。いっぺんスーパークロイも見に行こうかな。
全ライブ終了。したとこで丁度Tからメール。なんというナイスタイミング。そのまま流れるように合流。10年ぶりに会うSも交え三人で飲み。適当に入った焼鳥屋でぐだぐだ飲む。近況なんかの情報を交換した後、クソ盛り上がったのがホストクラブのオーナーであるSの体験談。「こないだEXILEと飲んだ」はガチのパンチライン。一番人気があるらしい坊主のやつはマジで調子に乗りすぎ、とのこと。芸人と飲むことも多いらしく、千鳥の二人が「これ事務所にばれたらヤバいっす」とがたがた震えていた話とかマジで腹筋が痛かった。あとやはりどうしても盛り上がってしまうのが音楽の話。Sがちょうどこの日ガンズの新作(笑)を買っていて、ガンズ全盛期だった頃の話がクソムゲェ盛り上がりを見せる。固有名詞だけ羅列すると、ガンズ、モトリーホワイトスネイク、テスタメント、ヴォイヴォド、エクソダス…。最近のバンドで名前出たのなんかCHURCH OF MISERYぐらい(笑)。こういう話はやっぱ楽しい。
二件目行くか、と次の店探してぶらぶらしてると、Sが一つの看板を発見。そこには「リッチーが誘う館」との誘い文句が。おいおい、まさかブラックモアじゃねえだろうな。いや、この写真はマジでブラックモアだろ。ちょっと入ってみるしかねえんじゃね?というわけでFLASHというその店に雪崩れ込む。
入ってみると、クソ狭い店内の壁に所狭しと飾られたオールドHR/HMのアナログ盤が我々をお出迎え。予想通りの雰囲気に三人ともテンション上がる。ブート含むDVDもやたらと数が揃えられていて、好きなのかけてもらえるとのこと。やはりガンズ。あえてモトリー。ここはパープル。いやツェッペリンも。侃々諤々の議論の末、とりあえずサバスだろ、ということで初期Black SabbathのブートDVD見ながら飲む。クソ盛り上がる(笑)。というかそのDVDがマジで良くて見入ってしまい、あんまり話もできない状態。ほぼ一本すべて見終えてツェッペリンに移行。このライブがクソな出来映えだったので会話が弾み始める(笑)。といっても店員のOさんを交えてただひたすらオールドロックの話。マイケル・シェンカーと伊藤政則の話がヤバカッタ。昔はこういう店も良くあったけど、まだ生き残ってるんだなあ(遠い目)。
そのあとモトリーのDVD見てるうちにいい時間になってきたのでお開き。二人と別れItoIに向かう。

◆A Son Of The Son "UYAMA HIROTO RELEASE PARTY" feat NUJABES
◆2008.12.14 (SUN) @アメリカ村 ItoI 
◆adv 3500yen w/1d : adm 4000yen w1/d
◆21:00〜5:00
NUJABES , UYAMA HIROTO , AFRA ,improve , TOKI feat L.N.B,and more...

このチケットの高さにカチンと来て迷ってたんですが、どうせもう終電も出ちゃったし、NUJABESは1回ぐらい見とくか、というわけで行ってきました。
やめときゃ良かった、と入ってすぐに思った(笑)。ItoIって初めてだったけど、クラブでこの大きさってのはあり得ない。広すぎ。低音を強調しがちなクラブミュージックをこんなだだっ広い場所で心地よく聞けるわけねえじゃん。案の定低音巻きまくりで最後までクソ居心地悪かった。出演者も客層もはっきり言ってクソ。「こんなんで出てきて恥ずかしくねえのかよ」「前のやつ、妙な動きをするんじゃねえ(@承太郎)」「チンコかゆい」などと思いながら心をこめて雑にライブ見る。ただ、入ってから3番手ぐらいに出てきたAFRAはマジでヤバカッタ。ファンタスティック。I.B.Bを連れず一人+サンプラーだけのライブ。次から次へと人間業とは思えないビートボックスでガンガンに攻め込んできて目が離せない。リアルタイムでビート作ってラップ乗せるのとか凄かった。あとサンプラー使わずに一人でビートとウワモノとベースライン叩き出す必殺のビートボックスは、生で見ると感動すら覚えた。
上を向いて歩こう」で締めたAFRAに変わってNUJABES。セット転換がマジでクソとろい。直前にSUIKA夜話見たから余計に感じるのかもしれないし、生バンドが多かったからある程度は仕方ないのかもしれないけど、NUJABES前のセッティングなんかは明らかにリハ不足なマイペースっぷりで、見ててイライラして仕方なかった。PAのわかってなさ加減もマジで半端なくて、音量の定まらなさとか音のバランスとか酷すぎるスキル。ただでさえ低音が巻く作りの箱でアホみたいに低音ブーストするせいで、最初のあたりウワモノとラップが聞こえないくらいベースが強い。なので前半に「luv(sic)」pt.1〜3まで全部ブッ込んでくるという媚び媚びな選曲が完全に裏目。なんかだんだんかわいそうになってきて後ろの方に下がっておとなしく見る。ヒットパレードな前半、Uyama Hirotoのサックスをフィーチャーした中盤、それに加えてnujabesがフルートを吹く後半、と言った感じのセット。音がもう少しましだったら楽しめたかもしれない。元々nujabesに限らずジャジーhiphopなんてキックやベースでガツガツ踊る感じじゃないのに、なんであんな音だったんだろう。とりあえずこの箱には二度と足を踏み入れないようにしよう、と自らに誓いを立てて帰宅。泥のように眠る。

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桜庭一樹推定少女
いまや直木賞作家として押しも押されもせぬ地位を確立した桜庭一樹の04年の作品。今回読んだのは角川文庫版だけど、ジャケット画像はあえてラノベテイスト溢れるファミ通文庫版。この人マジで大好きでほとんど読んでるんだけど、ラノベ時代も一般小説に踏み込んできてからもハズレが一作もないという希有な作家。「とらドラ!」の竹宮ゆゆこと並んで、もっとも注目すべき女性作家でしょう。んでこの作品もやっぱり面白い。「世界から逃れようとする少女meetsストレンジャー」という安心して読めるサクラバ王道スタイル。かと思いきや、なんとこの小説マルチエンディング(笑)。さすがラノベ出身者。3種類のEDは「少女vs世界」の観点から見れば「逃避エンド」「迎合エンド」「トゥルーエンド」とでも言うべきか。ただ、「沙耶の唄」で沙耶エンドがトゥルーと信じて疑わない「俺は人間をやめるぞジョジョーッ!」的な人間(たとえば俺)にとっては逃避こそが戦いなわけで、手に手を取ってネバーランドへ旅立つ逃避エンドのまばゆさはマジでこみ上げるものがあった。桜庭先生が最初に書いたのがこのEDだそうで、やっぱりこの人は間違えない、信頼できる、との認識を新たにさせられた。
直木賞受賞後初の長編「ファミリー・ポートレイト」もかなり変な作品らしいので今度買って読もう。