loser's howling for tomorrow

ネタバレ注意。小説、漫画、アニメ、ゲーム、音楽、お笑いのことなんかを書き殴っています

殺しにきたぜ I Love You

時代が俺に追いついたんじゃない!
俺がブログに追いついたんだ!


はい、5年ぐらいぶりです。
ちょっと燃え系ロボットアニメの名言風に始めてみましたが別に意味はありません。

最後に日記書いてから5年……色々あったような、特に何もなかったような…


一番大きな変化は、紙の本を(ほとんど)買わなくなったことでしょうか。
Kindle for PCが神アプリすぎて生活費ギリギリまで追い詰められたりしています。
まあそれ自体は紙の本買ってた頃とそんなに変わらないんですが、物理的に場所をとらなくて、思い立ったときにすぐ読める、という電子書籍の素晴らしさを、Kindle for PCであらためて実感させられました。

スマホで本(特に漫画)とか読むのはせせこましくヤだなあ。
だからってタブレットとかKindle端末買う気にはなれないなあ。
だって絶対すぐ使わなくなるもんなあ。
と、そんな風に考えているようなぬるいユーザーにこれでもかとばかりに突きつけられたのがKindle for PC。
スマホタブレットで読むものだった電子書籍がPCで読めるというだけでなんだこの開放感は…?
ララァ、わたしをみちびいてくれ……(白鳥の群れをおいかけて溺死)


まあそんなわけで、Kindle版が出てる本以外、ほとんど買わなくなりました。
紙で持ってる本もKindle版出てるのはバンバン買い直して、かなりの数の紙の本を売ったり捨てたりしました。
しかし本を手放すというのは何であんなに辛いんでしょうか。
身を切られるような、というのはまさにアレですね。
マジで失恋と同じぐらい凹みますね。
で、後ろ髪をぐいぐい引かれる想いを振り切ってブックオフに……持って行ったら300冊で800円だったりしてさらに凹んだり。

こういうのは愚痴になっちゃうんでやめましょう。
ともかく、紙媒体でしか出てない本はほとんど買わなくなったのですが、「ほとんど」ってなによ?
買うのもあるんかい?
というのが今回のテーマ。というかなんというか。

本の重みで傾きつつある我が家の事情を顧みず、それでも買ってしまった、数少ない紙の本から何冊かご紹介してみます。
(買った当時はKindle版が出てなかった、というパターンも含んでいます)


こんな感じで、小説とか漫画とか映画とか音楽とかについて、またちょくちょく何かしら書く予定です。
よろしくお願いします。


「眠る前に何かを期待していた。それが叶わないのを知っているから眠るのが好きではなかった。寝起きの辛さは失望の辛さだ」


僕が一番好きなライトノベル作家と公言してはばからない石川博品の、現時点での最高傑作。
吸血鬼が当たり前に存在する世界での、ありふれたボーイミーツガール。
だけどこんなに切ないのはなんでなんじゃあ!
この作品については、いずれまとまった感想を書くつもりです。
とにかく切ない。なのにさわやか。でもやっぱり切ない。
体温を感じさせるような地の文が素晴らしいです。


終物語 (下) (講談社BOX)

終物語 (下) (講談社BOX)

「馬鹿にできない。やっと、自分のために戦ったんだね――僕はきみを尊敬するよ、阿良々木くん」


はっきり言って惰性で読んでいた、かの有名な「化物語」シリーズの事実上最終巻。
あまり期待はしていませんでした。
戯言遣い」シリーズの無理矢理にもほどがある終わらせ方とか、おまえ終わらせてないシリーズいくつ抱えてんねんという不満とか、そもそもこの人の文章たまに(というよりけっこう頻繁に)マジで受け付けない、という根本的なアレとか、めだかBOXとか(笑)、不安材料だけは山ほどありましたし。
それでも、「化物語(上)」を最初に読んだときの驚きと感動、アニメも含めたこのシリーズへの愛着は大きく、とうとう最後までリアルタイム買いを続けてしまいました。
あまり期待はせずに。
そしたらめっちゃ面白いでやんの。
西尾維新のくせにちゃんと終わってるし!(超失礼)
まあまあ、正直なところ予定調和な感は否めませんでしたし、あいかわらずだらだらとメタな会話でページ稼いでる感は強かったですが、そんな不満を圧倒的にねじ伏せる「ちゃんと終わってる感」がやばかった。
「そりゃ最終巻なんだからちゃんと終わってるだろうよ」とおっしゃるそこのあなた、あなたは西尾維新という作家を知らない!
こんなにちゃんと終わらせられる人じゃないんですこの人は……!
収集がつかなくて終わらせられないというよりは「このまま終わるなんてベタすぎる」という想いから裏の裏をかいてかいてかきまくった挙げ句わけのわからない投げっぱなしエンドを選択しちゃう、という感じではあるんですが、毎回それに付き合わされる読者の気持ちにもなれよ。っていうね。
そんな西尾維新が敢えてこのエンディングを選んだというのが熱い。
「熱い」というのがこのシリーズの共通テーマだったので、順当な終わり方ではあったのでしょうが、「傾物語」あたりの迷走っぷりを見てると「またこいつわけのわからん終わり方させる気か…」という不安も積もっていましたので、最後にこの直球一本勝負というのは痺れました。
これがアニメになる日が待ち遠しいです。
何年かかんねんとかそういうことは言うな。
ちなみに僕がシリーズ中で最も好きなのは「猫物語(白)」、次いで「傷物語」です。
一番好きなキャラクタは羽川翼です。いや忍野忍………八九寺真宵俺の嫁……うっ、頭が………


「世界は喜劇になるでしょう」


今回紹介する中でもっともニッチと言えるでしょう。
「ある界隈では知られてるけど知らない人は徹底的に知らない」系の作家、王雀孫の小説デビュー作です。
わー、ぱちぱちぱち。
ちなみにこの「ある界隈では知られてるけど知らない人は徹底的に知らない」系の頂点に君臨するのが我らが田中ロミオであります。
…えーと、まあそういうことです。察しろ。
というのも何なので、ざっくり簡単に説明しますと、エロゲのシナリオライターさんですね。
シナリオを手がけたゲームの代表作として「俺たちに翼はない」(以下『おれつば』)、「それは舞い散る桜のように」(以下『それちる』)などが挙げられます。
いずれも傑作かそれ以上なので未プレイの方はすぐに買うように。
それちるはうっかり完全版の方買わないように十分気をつけましょう。


さて小説の話をしましょう。
…あんまし言うことないですね(笑)
知ってる人にはいつもの王雀孫節。
知らない人には「これを小説として出版するとか正気か…」というもの。
別に文章が特にへたくそだとか読みにくいということはありません。
多少のクセはあるものの、むしろ平易で読みやすい文章と言えるでしょう。
エロゲのテキストそのまんまであることを無視できるなら。
↑これね、けっこう以前から自分の中では大きな問題なんです。
いわゆるノベルゲームのテキスト(特にウインドウ内にテキストが表示されるもの)が、仮にゲームとしてのインターフェースを取っ払ったとしても、文章として小説として機能するのか、という問題。
僕はこれを某丸戸先生の同人小説になぞらえて「めもらるクーク問題」と呼んでいるのですが、実はけっこう根が深いのです、これは。
でもあんまり掘り下げると例の「ライトノベルにおける『わたくし』小説は文学として機能し得るのか問題」とかも絡んできて非常に厄介なのでひとまずスルーします。


「ある界隈では知られてるけど知らない人は徹底的に知らない」系の作家に触れると、こういうことばっか言ってて肝心の作品について何も語れていないことがよくあります。
この文章がまさにそうです。
まだ何も書いてないですね。
よし、内容紹介、します!


主人公(妹持ち)が変だけどかわいい上級生に出会って何やかんやいじくられます。


以上!
まさかの一行。
細部はもうちょい掘り下げられるんですが、今のところ細部が機能していない。
主人公兄妹にもう一人兄がいたり幼なじみの娘がアレだったりヒロインの母親がアレだったりするんですが、1巻の時点ではただの「思わせぶり」で、伏線にすらなっていないんです。
つまりただの序章。
キッズ・リターン」状態です。
終わるどころか始まってもないんだから語りようがないんです。
じゃあいつ始まるの?
そんなんワシが聞きたいわ!
絶対続刊出せよ!ダッシュエックス文庫には期待しとるけえのぉ!


と、これだけで終わるのはいくら何でもアレなので、王雀孫のキャラクタの描き方という点には触れておきましょう。
「それちる」の頃から少しその気はあって、「おれつば」で一気に花開いた感のある「ギャル属性」の描き方というところなんですが、
これがね!もうね!たまらんよね、折口君!
という感じで、ギャル萌えとかビッチ萌え要素がある数少ない同志達にとってヘヴンな感じに仕上がっていることだけは強調しておきたいです。
あ、かわわさんは別にどうでもいいです。


あとはまあ、そんなに特色といえるほどの要素はないです。
友ゼロ(友達がゼロ人)で露悪的で、でもちょっぴり自覚が足りない主人公くんはまさにラノベの主人公!といった感じで可もなく不可もなく、
友ゼロ(友達がゼロ人)なので妹と偶然ばったり出会うヒロイン以外ほとんど誰も出てこず、
一応部活ものなのに部活描写は一切なく、
要するに王雀孫のデビュー作ということ以外にあまり意味が見いだせません。
ま、まあ一巻だからね!まだ一巻だからね!